宮本しづえのかけ歩き

あかるくあたたかい県政へ

18日、完全賠償を求める県北の会総会。伊東達也氏が講演。

 18日、完全賠償を求める県北の会総会が開かれ出席。総会は2年ぶり。この間生業裁判に参加していない人を対象に東電への直接請求にも取り組んできましたが、東電の態度はまったく不誠実なままであることが報告されました。私からは2期目の内堀県政について報告し、被害者県民の闘いこそが県政を変え国と東電の姿勢を変える力であると報告。

 記念講演した全国原住連代表の伊藤達也さんは、原発事故が今の深く県民を傷つけ続けている実態について、特に健康被害をどう捉えるかについて詳しく述べました。放射線の影響が科学的に解明されていないもとで、県民一人一人の受け止めが異なる事、甲状腺がんと診断されても他人には言えない苦しみがある、それは広島長崎の被爆者が受けた偏見や差別と重なるからだと指摘。三菱総研が行った世論調査で、福島の原発事故により次世代に健康への影響が起こると思うかの問いに、都民の49.8%、半数が起こると思うと答えていることを紹介、福島県内の37.6%と比較しても県外の人が福島県をみる見方が違うと言うこと、こうした県民の苦しみに寄り添う取り組みの重要性を語りました。

 また、原発労働者の多重下請構造の中で、この間の原発労働者の裁判で明らかになったNさんの事例を紹介したのは衝撃的事実でした。東電から鹿島建設が元請となり日当と危険手当2万円計1日4万3千円で一次下請けに出し、ここで1万8千から1万9千円ピンハネ、二次下請けで7千~8千円ピンハネ、Nさんの直接雇用主である戸田建設が5千円ピンハネ、Nさん本人が受け取った日当+危険手当の総額は僅か1万1千円だけ。4万3千円から3万2千円に74%もピンハネされる多重下請けの実態は凄まじいものです。この数値も裁判所が命令してようやく提出されたものだとのこと。多いときには1日1万人が働いており単純計算でも3.2億円ピンハネが行われていたことになります。廃炉作業の安全確保の点からも廃炉作業にかかわる労働者を公務員並みの処遇保証をと求めていますが、中間搾取をなくせば決して不可能でないことは明らかです。

f:id:m-sizue:20181120104621j:plain

 農民連の代表は、来年から農業の賠償仕組みが変わるが、これまでは2008年から2010年の資料提出を求められていたが、今度は2006年つまり12年前の資料提出を求めている。税務調査でもありえないことが賠償では起きていると、加害者東電の異常な賠償渋りの実態を告発。

 娘さんの精神的賠償をしてほしいと訴えた女性は、娘は事故の年に念願の幼稚園教諭となったが園児の減少で解雇され、自分を責めて引きこもりとなってしまった。娘の精神的苦痛と見守る親の苦しみは計り知れないものがあった。ADRに申し立て休業補償と精神的賠償を求めたが、東電は休業補償しか認めず精神的賠償は払われなかったと悔しさをにじませました。被害者が被り続ける被害の完全賠償を求める闘いは、益々重要になっています。