宮本しづえのかけ歩き

あかるくあたたかい県政へ

11日、12日と災害対策全国交流集会で岩手県大槌町へ。シンポジウムで福島の現状を報告。

 毎年開かれている災害対策全国連絡会の交流集会が、今年は岩手県大槌町で開かれました。岩手県の取り組みに学ぶをメインテーマに地元の被災地大槌町で開催され九州や北海道の被災地からの参加もあり全体で170人の参加でした。会場は津波で残ったホテル浜菊。岩手県の復興計画作りと管理にかかわっている岩手大学の名誉教授斉藤徳美先生が記念講演。災害を繰り返さないとして、この間堤防の設置など様々な取り組みが行われてきたが、6千人もの命が奪われてしまった。津波の一番の対策はてんでんこに逃げることをいかに徹底するかだと述べて、防災士育成の必要性を語りました。復興に当たっては、住民が主体となった被災者のくらしと生業、コミュニティの再建を行政が支援する取り組みを基本に据えなければならない。一つひとつの復興事業がそうなっているか、復興事業がくらしの再建の妨げになっいはいないかの検証が必要とし、脱大型事業転換、住民参加型から国の政治が先祖返りしていることは大変憂慮すべき事態と述べました。その中で岩手県は復興の太い柱に①安全の確保②生業の再興③暮らしの再興を位置づけ、支援策を講じてきたつもりだと語りました。県の復興の基本に県民のくらしと生業の再興がしっかり位置づけられている事で、住宅再建の大幅な独自支援に具体化されている事が良くわかりました。岩手県内の住まいの再建支援では、自治体独自に300万円の上乗せを行っている所もあり、住まいの再建か生活再建の土台に座っているのを感じます。この点は宮城、福島とは全く異なる取り組みです。

 全体会のシンポジウムでは、宮城、岩手、福島の3県代表がシンポジストとなり震災から7年8か月の現状と取り組みを報告、福島は私が報告しました。このシンポジウム全体を通じて共通の認識となったのは、国主導の復興が被災者本位ではなく大型公共事業優先となり、惨事便乗型資本主義と呼ばれる状況がどこでも表れているという事です。福島県ではイノベーションコースト構想がその典型。被災者に寄り添うのではなく、中央の大企業に寄り添う復興事業からの転換こそ重要であることを確認し合いました。被災者支援では、被災者台帳やケースマネジメント(被災者生活再建ノート)の活用が必要との発言があり、福島では避難者追い出しのためにケースごとの実態把握が行われていることを紹介。宮城県からは子どもの心のケアの重要性が話された中で、いじめの発生率が全国の3倍になっているとの報告は衝撃的です。本県も増加しており、いじめ、不登校など子どもに現れている変化を機敏にとらえた対策が求めらます。

 翌日の分科会は、原発事故から7年8か月の福島の現状と課題の分科会に参加。意見交換の中で、マスコミの研究者からは、福島原発事故に係わる報道が2012年にはニュース番組等で3500本あったが、2017年には8分の1に減少、地元に居なければ福島のことは分からなくなっているとの指摘が出されました。私からは、福島に居ても避難者や被災者のことは殆ど取り上げられなくなっており、福島県民もわからなくされているのが現状だと報告。是非福島県に来て直接見て聴いて感じてほしいと要請。また、意見交換の中で福島のことをどの様に語ればいいのか迷う事があるとの意見も。確かに子どもの甲状線がんひとつとっても研究者の間で多発と見るか否かで意見が分かれる等、科学的研究が進んでいない分野の問題を巡る意見対立があり、複雑な状況です。あくまで事実に基づき正確な情報が開示されることが重要だと確認し合いました。全国の再稼働が進んでおり、稼働する原発の危険性を告発し中止を求める運動が必要ではないかとの問題提起もありました。 岩手県生協連の代表からは、住民が直接国や東電と交渉して問題を解決するのは容易ではない。自治体を巻き込む運動にすることを考えるべきだとの意見が。岩手県内には地方自治憲法を活かす首長の会が作られ、既に20人が参加している。首長は真剣に住民のことを考えている人が少なくないことも分かった。自治体への取り組みも強めようと提案されました。

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 ホテルからの素晴らしい海からのぼる朝日は、7割もの町民の命を奪った津波が押し寄せた海とは思えない絶景でした。