宮本しづえのかけ歩き

あかるくあたたかい県政へ

9から11日、災害に強い県土づくり特別委員会の県内調査で昨年の被災地を視察。

9日から11日にかけて、災害に強い県土づくり特別委員会の県内調査で、昨年の台風被災地をほぼ全部の自治体を視察しました。

 伊達市は、昨年の台風被害を踏まえて防災専門員1名を配置したとのこと。阿武隈川の支流の県管理河川は全て今回の台風で被害を発生、県の河川事業の進捗への期待は大きい。

 国の河川国道事務所で阿武隈川改修プロジェクトを中心に説明聴取。今回の水害で阿武隈川からあふれた水量は約1000万tで流量の2%、ダムや遊水池で受けたのが5%の3000万t。内、浜尾遊水池が260万t。60ヘクタールの農地を買い上げ、掘り下げも行って貯水量を増やしています。国は、今後3か所に遊水池の整備を計画していますが、予定地を案内してもらいましたが、いずれも優良農地。ここを買い上げ方式にするのか、農業を継続しながら遊水池の機能を持たせるのか、まだ方式は決定していません。国の貯水量計画900万tに対応するには、単純計算では200ヘクタール以上の農地確保が必要になります。農家や自治体との丁寧な協議が必要です。国は、各自治体が地元で発生する水を地元で処理するという考え方、 流域治水を重視する方向で対策を検討するとしています。田んぼダム、地域ごとの遊水池の整備など、検討すべき課題は沢山ありますが、行政が住民と一体で計画づくりに取り組むことが大事です。

 相馬市では、水道の導水管が被災したため市内全域で断水が発生。水源の一元化ではなく分散型を検討する考えはないか聴きましたが、広域水道なので1つの自治体だけの判断が難しいとのこと。避難者の中で橋が崩落して復旧しないため戻れない世帯には、引き続き市営住宅の無償提供を計測するとしています。

 須賀川市では、避難情報が確実に世帯に届けるために、1台8から10万円で購入できる個別受信機の無償貸与を2000世帯を対象に始めており、1000世帯の申し込みがあるとのこと。事業者へのグループ補助金の申請件数が少ないことについて聴くと、水害保険の加入が申請の条件とされているため、市が保険加入のための独自の補助制度を作ったと言います。

 郡山市では品川市長が出席し、特に阿武隈川のバックウォーターがない状態をつくってほしいと強調。大きな被害を受けた中央工業団地のアンケートでも、行政への要望で最も多いのは河川改修を促進することです。市の説明の後、工業団地会の皆さんとの懇談の場が設けられ、率直な意見交換ができたことはとても有意義でした。ここでもグループ補助金について何故申請と交付件数が少ないのか伺いました。すると、出席された事業者が自らの体験として話したのは、新鮮事務があまりにも煩雑で途中で諦めてしまったとのことです。水害で片付け作業の中で難しい書類の記入はとても厳しく途中で諦めるか最初から申請そのものを諦めるしかなかったと話しています。しかし、資金援助は喉から手が出るほど欲しいとも言います。この工業団地は2回目の水害。本音はどこかに越したいと思うが、そんな資金はないので、国県の治水対策に頼るしかないのだと言います。もっと被災事業者に寄り添った暖かい支援が求められていると感じました。

 本宮氏でも高松市長が出席し直接説明を受けました。7人の犠牲者が出たが、市と市民との危機感の乖離が大きすぎた。8.5水害で大丈夫だった人が避難せずに亡くなった。市は新たな対応が求められていると言い、国は自助、共助、公助というが、事前公助が重要だ。これがあって初めて自助につながると強調されていたことはとても大事だと感じました。市長自身が市民を助けられなかったことを悔やむ気持ちが痛いほど伝わってきます。そして、災害対応なのか、福祉対応なのかいずれであっても、どこにも住む場所がない人をつくってはならないと述べられたことも印象深く伺いました。

 この本宮市を除き総じて被災者のことは余り語られない傾向があることは、災害対策を誰の視点で取り組むのかその原点が据わっているのか疑問を抱かせるものでした。

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写真上は平平窪地区の夏井川堤防決壊箇所。中は浜尾遊水池の中、下は浜尾遊水池と阿武隈川の境の堤防決壊箇所。