厚労省は昨年12月25日、生活保護世帯の車の利用について一部拡大する指示文書を地方に送付しました。国は車の利用については極めて限定的にしか認めていないため、地方でも通勤や障がい者の通院などに限定していました。今回は他の目的も可能として拡大するもので、障がい者が買い物等にも利用できる、公共交通が不便な地域に住む世帯について、通勤だけでなく買い物等にも利用可能としました。
新たに保有を認めるものではありませんが、従来の保護世帯で車の保有が認められている目的を拡大したことは、車の保有に画する壁の一角に風穴を開けるもので、今後の拡大にもつながる改定です。
このきっかけは鈴鹿市の生保世帯が、市の指導に従わず車の利用状況記録を提出しなかったことを理由に保護が停止されたことは違法として起こした裁判で、原告が勝訴したことから、当時の厚労大臣も車の利用の見直しを検討すると答弁していたものです。
車社会の中で公共交通がズタズタに切り捨てられ、日常生活に支障が起きる地域が広がり、車は生活必需品となっており、原則保有を認めない保護行政こそ時代遅れも甚だしい。
県内の2023年度末の車の保有を認められた世帯は、県が担当する町村で34件、市で112件合計で146件です。これは5年前の101件の1.4倍に。しかし、保護世帯全体の0.36%に過ぎず、保有そのものを認めさせる取り組みが重要です。