宮本しづえのかけ歩き

あかるくあたたかい県政へ

原発事故の帰還困難区域を除染もせず避難解除はあり得ない。国、県は除染を前提とした帰還困難区域のまちづくり計画に支援を

 安倍政権は、原発事故の避難指示区域の中でまだ避難指示が解除されていない帰還困難区域にいて、除染を行わなくても避難解除を行う方針で検討がおこなわれており、経産相、復興庁、環境省で合意がなされているとの報道が3日付朝日が1面トップで報じました。大熊町双葉町浪江町富岡町は帰還困難区域が広大な面積を占めているため、国は費用対効果を理由に除染の方針を明らかにしてきませんでした。

 その一方で、大熊、双葉を除く地域では帰還困難区域に住居がある避難者への仮設、借り上げ住宅の無償提供を今年の3月で打ち切るなど、避難者切り捨てを県と一体で進めて来ました。避難者の中には帰還困難区域の自宅に戻りたいとの要望があるのも事実。その為には国による除染は不可欠ですが、飯舘村が除染をしなくても解除を求めたため、このやり方を帰還困難区域全体に適用しようとしていると思われます。飯舘村の帰還困難区域の面積は僅かで村が公園の計画を策定中とのことで、他の帰還困難区域とは全く条件が異なります。

 国の避難指示解除の条件の一つは、放射線量率が毎時3.8μシーベルト以下に低減していることですが、避難区域以外の除染の目安は毎時0.23μシーベルト。誰も20倍も高い放射線量の土地に安心して帰れるはずがありません。

 今回の国の方針転換は、戻りたい避難者の気持ちを逆手に取り、帰りたいなら除染しないことを認めろとの脅しにもなりかねず、到底避難者の納得は得られないでしょう。そもそも、故郷に住めなくしたのは国と東電なのに、責任転嫁は許されません。

 今必要なことは、除染前提にした帰還困難区域のまちづくり計画策定を住民と町が一体になって取り組めるよう、国も県も町を支援することです。