宮本しづえのかけ歩き

あかるくあたたかい県政へ

20日、県内地方議員団が紙智子、岩渕友両参院議員とともに原発事故に係わる要望を中心に政府交渉

 20日、県内の地方議員団が紙智子、岩渕友両参院議員とともに県内の要望を元に政府交渉を行いました。大震災、原発事故から8年が経過するもとで、複雑深刻化する県民の被害に国が加害者として真摯に向き合い対応するよう求め1日がかりで交渉。

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経産省では、福島第二原発廃炉を国が政治決断して東電を指導すること、原発作業に外国人労働者は受け入れないこと、汚染水の海洋放出を行わないこと、継続する被害への賠償とりわけADR和解案の受け入れを東電に指導すること、環境破壊が懸念されるメガ発電わ認めないことなどを求めました。この中で、議論が集中したのは第二の廃炉と賠償、メガ発電の問題です。東電が第二の廃炉の検討を明言してから間もなく1年が経過するにもかかわらず、今もって廃炉を決断しないのはオール福島の要求を踏みにじるものだと批判、廃炉の工程は決断してから進めればいい、国が決断はしないことが最大の問題だと一斉に批判の声が上がりました。ADR和解案を拒否する東電が、個別にダイレクトメールを送付している問題で、個別の事情を書いて申し立てしているのになぜ再度個別の申請が必要なのか申し立てした人たちからは怒りの声が上がっている、全員が再度の申請ができるわけではなく東電は和解案に基づき賠償するよう国が指導すべきと求めました。国は、個別の再申請に基づき東電が賠償で和解した件数が10例程度に上ることを初めて明らかにしました。どのような基準で賠償に応じたのかは定かではありませんが、拒否し続けることができなくなっている事も事実であり、引き続き粘り強く闘うことの重要性も明らかになりました。いわきの山間地でのメガ発電の危険性について、担当者はガイドラインを策定し地元の合意を得るよう指導していると説明。地元の合意とは必ずしも自治体の首長や自治会長とは限らず一般住民も入るとの認識を示しました。

 復興庁では、避難者の住宅支援の継続を求めました。国は県が避難者の意向調査に基づき判断したものと受け止めていると回答。今年の3月末で仮設住宅が打ち切られた山木屋の70代の高齢者は年齢的にも住まいの新築はできず、これからどうしていいかわからないと困り果てているとの事例の示しながら、避難者が帰還していないにもかかわらず住まいを取り上げるのは無謀だと指摘し、国は県任せでなく実態を独自に調査すべきと求めました。また、国家公務員住宅に避難している自主避難者について、18戸は継続を認めていると述べました。県が法的手段も検討すると避難者に脅しともとれる発言を行っていることについて国の考えょ質すと、国としては法的手段は考えていないと明言しました。

 環境省では、除染の除去土壌の再利用を行わないこと、再エネのメガ発電計画に対して環境保全の対策を講じるなどを要望。除去土壌の再利用について、南相馬市では大反対運動が起きていることを示し、再利用計画そのものを中止すべきと強く求めました。国も地元の反対があることは認めざるを得ず、住民の意見を踏まえて検討すると述べました。メガソーラー発電については、環境アセス法の見直しに向けてパブコメ中と回答、国は40メガワット以上についてアセスを義務付け、30から40メガワットは必要性を検討し判断するの内容で法整備し2020年4月施行する意向です。この基準では大きすぎるので、もっと小規模のものまで対象にすべきと求めましたが、小規模は各県や市町村条例で対応してほしいとの考え方です。しかし、条例を持っている自治体は少数であること、既に条例のない自治体に外国資本が参入する福島市のような実態があることを示して、国としての考え方を明確にするよう求めました。

 農水省では、イノシシ対策に議論が集中。福島県には今年度は前年比20%増の予算をつけたと回答しましたが、国全体の予算はマイナス2億円の102億円、これでは全国の要望に対応できないと大幅な予算の増額を求めました。有効な対策が見いだせていないもとで、地域の囲い込みが有効な対策と考えても農家負担では困難であり、自治体の公共事業として取り組めるような仕組みを作ってほしいと要望しました。

 厚労省では、避難区域の医療、介護の保険料、利用料の減免を復興期間終了後も継続するよう求めたのに対して、国の復興指針の中では検討すべき課題の一つに入っていると回答しました。特に全国の中でも高額な介護保険料について、当該自治体は努力を始めているものの決め手は無いのが現状。介護の抑制になってはならないと指摘し、避難地域への特別の仕組みの構築を求めましたが困難だと拒否しました。だだ国の担当者から福島の医療介護問題は自治体任せではていけないと思っているとの発言があったことはこれまでにない出来事でした。

 全体の交渉を通じて感じるのは、国が真摯に事故に向き合い加害責任を果たそうとする意思が無いということ。話し合いの折々で、国は加害者ではないかと指摘せざるを得ない場面に直面します。国の中枢に福島の事故も被害も早く終わらせたいとの思惑があるだけに、福島の実態を訴え続けることが益々重要になっています。